うちの幼なじみは馬鹿だと思う

うちの幼なじみは馬鹿だと思う。
怖い話が好きなくせに誰よりも怖がりで、変に前向きだ。

小学生のころいきなり「コックリさんをしよう！｣と言い出して、こちらの声も聞かずに一人で嬉嬉としてはじめてしまうし、雰囲気でるかなと『通りゃんせ』の音楽をかけたが、怖すぎるからと慌てて『修二と彰』の曲に変えたりしていた。儀式が終わる頃にこっそり西野カナの『トリセツ』に変えてやったから雰囲気もなにもあったものじゃなかった。

それでも、私はこのどうしょうもない幼なじみをほっとけないので、彼が何かをするたびに巻き込まれてしまう。

「ごめんな、ゆい……｣

まったく、社会人にもなっていまだにコックリさんを続けない欲しい。いい加減離れたいのに、何度も繰り返すからうかうか離れられていられない。

私は今日もたくさんの生白い手を振り払って、彼が一人で押さえるコインが間違って動いてしまわないようにその手を握り締める。