轟図鑑

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昔、登山の最中に天気が悪くなってね
雷が降ってゴロゴロと凄まじい音が鳴り響いて、驚きと恐怖に身体を震わせてると、1人の老人が本を開きながら、普通に歩いててね。

危ないですよ!何してるんですか?と言うと

私の事ですか?
私は今採取中なのですよ。
轟図鑑に、轟音を採取してるのですよ。

轟図鑑?
と思ってると

雷が光って、また音が鳴り響くと思ってると、その本に音が吸収されていくんですよ。
そして本を閉じてこちらを見て、

ね?このようにして音を図鑑として記録してるんです。雷のページが埋まりました。
と言ってそのまま消えてしまってね。


この前、博物館に行ったら、轟図鑑と書かれたものがあって

中を確認すると雷のページの前に登山家の悲鳴というページがあってね。
まさかと思って聞いてみると、俺の声が鮮明に記録されてて、恥ずかしいっちゃありゃしないよ。
末代まで俺の悲鳴が残されるんだから。
ファンタジー
公開:19/02/19 21:32
更新:19/02/20 01:36

なお( 大阪 )

ショートショートを読んで育ちました。
ちょっと不思議な話を書いていければと思っているので、ぜひ読んでいただきたいです!

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