電子書籍の午後
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退職し、年金暮らしの私の唯一の楽しみが、週に一度この店で食べるショートケーキだ。読書をしながらのティータイム。
紙の本ではない。電子書籍である。老眼の私にとって電子書籍は紙の本よりも読みやすい。しかも何冊持っても重くない。めくるのも楽。読み放題のシステムまである。活字中毒者にとって実にありがたい。
さて、お楽しみのショートケーキがきた。いただこうか。
フォークを取ろうとすると、何者かにフォークを奪われた。ショートケーキが皿の上で立ち上がってフォークを握り、大きな目をキョロキョロさせている。
なんと、私が先程ダウンロードした電子書籍の表紙の絵にそっくりだ。電子書籍を開く。ベリちゃん、いちごをとると顔が溶けると書いてあるが…。そっと手を伸ばし苺をとった。顔がドロドロと溶け始め、慌てて苺を元に戻した。だが顔は戻らず、ベリちゃんはもうただの崩れたケーキだった。
仕方ない。私は美味しくいただいた。
紙の本ではない。電子書籍である。老眼の私にとって電子書籍は紙の本よりも読みやすい。しかも何冊持っても重くない。めくるのも楽。読み放題のシステムまである。活字中毒者にとって実にありがたい。
さて、お楽しみのショートケーキがきた。いただこうか。
フォークを取ろうとすると、何者かにフォークを奪われた。ショートケーキが皿の上で立ち上がってフォークを握り、大きな目をキョロキョロさせている。
なんと、私が先程ダウンロードした電子書籍の表紙の絵にそっくりだ。電子書籍を開く。ベリちゃん、いちごをとると顔が溶けると書いてあるが…。そっと手を伸ばし苺をとった。顔がドロドロと溶け始め、慌てて苺を元に戻した。だが顔は戻らず、ベリちゃんはもうただの崩れたケーキだった。
仕方ない。私は美味しくいただいた。
その他
公開:19/02/20 13:44
ベリちゃん
電子書籍
ケーキ
苺
人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。
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