「ヒゲ」

3
9

休日の朝。たまには外出しようと思った俺は、いつものようにヒゲを剃った。剃り終えたあと、違和感を覚えた。
ふと、鏡を見て絶句した。
「ヒゲ、生えているじゃないか!」
今、間違いなくヒゲを剃ったよな? と自身に言い聞かせながら、もう一度ヒゲを剃った。今度は先程よりも念入りに。
しかし、剃り終えたあとに鏡を見ると、やはりヒゲが生えていた。
「ほほぉ。なかなかやるじゃないか、我がヒゲよ」
こうなれば意地でもヒゲを剃ってやる。俺の中に眠っていた闘志がメラメラと燃えてきた。
そんなわけで、俺は剃っても剃っても生えてくるヒゲと熱きバトルを繰り広げた。

すっかり日も暮れた頃、俺はついにヒゲ剃りを諦めた。
そう、我がヒゲに敗れたのだ。これ以上はお肌も限界だ。軽く血走っている。
「それにしても、なんと無駄な休日を過ごしてしまったのだろう……」
俺は鏡に映ったヒゲ面の自分を見て、ただただ卑下するしかなかった。
その他
公開:19/02/17 19:10

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容