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深夜の歌舞伎町で手が挙がった。身なりの整った「先生」風だ。
「どちらまでいらっしゃいますか?」
「大京町」
「大京町かしこまりましたぁ。ご指定のコースはございますか?」
「ベストで」
「ベストとおっしゃいますと」
「……プロが客に聞くのおかしくないか」
「靖国通りで外苑西入ればいいですか?」
「……ベストで」
「御苑のトンネル通ります?」
「……ベストじゃない」
「あ、じゃあ医大通りにしますか」
「……ベストじゃない」
「やっぱり靖国通りですかねぇ」
「……ベストで」
「医大通り……」
「……ベストじゃない」
「靖国通り……」
「……ベストで」
なるほど。正解がわかった。
「かしこまりました! 出発いたしまぁす」
俺は回送にして二丁目の交番まで走った。
「どちらまでいらっしゃいますか?」
「大京町」
「大京町かしこまりましたぁ。ご指定のコースはございますか?」
「ベストで」
「ベストとおっしゃいますと」
「……プロが客に聞くのおかしくないか」
「靖国通りで外苑西入ればいいですか?」
「……ベストで」
「御苑のトンネル通ります?」
「……ベストじゃない」
「あ、じゃあ医大通りにしますか」
「……ベストじゃない」
「やっぱり靖国通りですかねぇ」
「……ベストで」
「医大通り……」
「……ベストじゃない」
「靖国通り……」
「……ベストで」
なるほど。正解がわかった。
「かしこまりました! 出発いたしまぁす」
俺は回送にして二丁目の交番まで走った。
ミステリー・推理
公開:19/02/17 16:52
地べたの雲
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