カルロ

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カルロは、舞台の上に跪き、暗がりの天井に手を伸ばす。

「ああ、私の愛情はいつになれば、ナターシャの心に届くのだろうか。いつになく空は素っ気なく、どこか尊さを光らせては、形を無くす。まるで、彼女のように・・・」

カルロは、胸に手を当てる。

「私は心が反響しないドーム型の内情に、ただ、空疎のように嘆いているだけなのだろうか」

カルロの足に地面から生えた薔薇の茎が巻き付く。

「やめてくれ。私はまだ、彼女へ総体の想いを伝えていないんだ」

カルロは足に巻き付いた薔薇の茎を解き続ける。
心が彼女への想いを届けられなかった銅像となり、周りに見物客が溢れ出したら、ただの惨めさを露天することになるのであった。
その他
公開:19/02/18 22:09

神代博志( グスク )









 

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