通行調査

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「カチッ」
出た。
車の交通量や通行人の数を、カウンターを押して数える青年。交差点の前でパイプ椅子に座って遠くを見ている。気まぐれに、どちらを調べているのか見てみることにした。
「カチッ」
また押した。トラックとセダンがあっちから、軽がこっちから走り抜けていく。今のは軽か。
「カチッ」
信号が変わって何人かの人が渡る。「カチッ、カチッ……カチ」
3回…?もしや通行人も数えているのか?
「バサバサバサッ!」
カラスの大群が散った。
「カチッ」
横断歩道に駆け込んでくる人が5人。
「……カチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッ」
後ろから調査員に近づいた、その時。

「じゃ、宜しく。」
気づくと俺はパイプ椅子に座ってカウンターを持っていた。椅子から体が離れない。
「カチカチカチカチカチカチカチカチ」
声も出ず、俺はそうして助けを求めたが、通行人たちは一瞥の後に通り過ぎていった。
ホラー
公開:19/02/18 17:51
更新:19/02/18 17:52

北瓜 彪

ショートショート講座(2019年7〜9月期)にも参加
しました。
皆様宜しくお願いしますm(_ _)m

※アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/664452356
でも活動しています。SS講座で提出した作品「ファンフラワーに関する見聞」「大自然」もそちらで公開しております。
 

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