上階の人〜その2〜

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「キュイヒーン!」
バン!とシャーペンを折込チラシの束に叩きつけ、ミチコは立ち上がった。もう我慢ならない。2週間程前から度々聞こえる何かの鳴き声。このアパートはペット禁止のはずだ。文句を言いに行こうとサンダルを履いていると
「バーッルルルル!」
この声もよく聞く。どちらも上の階の人のペットの様だ。形容し難い声質は外来種だろう。
ゴンゴンゴン!
「ちょっとお!お宅、ペット飼ってませんかー!」
ミチコが乱暴にドアをノックすると、中から夫婦が出てきた。妻は高級そうなドレスを纏い、夫はステテコにジャージのズボン。嬶天下かヒモね、と思っていると、妻が
「この子たちはペットじゃありませえん、息子ですう。」
と言う。その2人の隙間に、人間らしい顔で角の生えた赤いライオンと、紫の長い尾を垂らしたエメラルドのワシが蠢いていた。
「失礼しまし…。」
ミチコはドアを閉めた。一瞬交わった2つの生活は、再び離れた。
ミステリー・推理
公開:19/02/18 17:48
更新:19/02/18 17:49

北瓜 彪

ショートショート講座(2019年7〜9月期)にも参加
しました。
皆様宜しくお願いしますm(_ _)m

※アルファポリス
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/664452356
でも活動しています。SS講座で提出した作品「ファンフラワーに関する見聞」「大自然」もそちらで公開しております。
 

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