ウィザード王子と帰る姫

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塾帰り、暗くなった道を走ってた。
高校生の一人歩きは物騒だけど、今日は友達が風邪でやむを得ず。
(嫌だな、早く帰ろう)
突然、後ろから腕を掴まれた。
「きゃ……!」
本格的に叫ぶ前に、指が前を指す。
「赤信号。気ぃ付けなきゃ、大学より天国に直行だよ」
お礼を言い掛け、何で知ってるのって怖くなった。まさかストーカー!?
「さっき落とした。うちの学校の案内」
「……ありがとうございます」
「大通りまで、エスコートしようか、慌てん坊のお姫様?」
お姫様?変な人だけど、先輩らしい。ここは厚意に甘えよう。
「さて、まず障害をクリア。……1、2、3♪」
指のタクトに合わせ、信号が青に変わる。
「え?」
「俺、魔法使いだから」
口笛吹いて、歩き出したひょろ長い影を追う。
「あの、先輩……?」
「オージタスク。情報技術3年」
魔法使いで、王子?ますます変な人。
春から一緒の大学。ちょっと早足で横に並んだ。
青春
公開:19/02/18 12:00
更新:19/02/18 14:21

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞

いつも本当にありがとうございます!

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