4
7
視力が落ちてから、目の筋肉を使うために、遠くと近くを交互に見るのが癖になった。
出来る限り遠くを見たいのだが、街中では背の高いビルに遮られて叶わない。
泳ぐためでも肌を焼くためでもなく、うんと遠くを見るために海へ向かった。
空と海とを区切る線と、波打ち際の貝殻を交互に見る。
何十回か何百回目か。数えるのを諦めた頃、水平線に腰掛ける人影が見えた。
目を凝らしても、それが誰なのかは分からない。幼馴染だろうか、高校時代の恩師だろうか、それとも祖母だろうか。
その人がどんな表情をしているのかも分からない。私に向けて、笑っているのか怒っているのか、それ以外の気持ちを抱いているのか。
生憎泳げる服ではないし、貸しボート屋も見当たらない。はっきりした事柄を確かめる手段は、今は無い。
だから、おーーーーーーい。と、手を振った。
あの人も多分、振り返してくれた。そう思うことにした。
出来る限り遠くを見たいのだが、街中では背の高いビルに遮られて叶わない。
泳ぐためでも肌を焼くためでもなく、うんと遠くを見るために海へ向かった。
空と海とを区切る線と、波打ち際の貝殻を交互に見る。
何十回か何百回目か。数えるのを諦めた頃、水平線に腰掛ける人影が見えた。
目を凝らしても、それが誰なのかは分からない。幼馴染だろうか、高校時代の恩師だろうか、それとも祖母だろうか。
その人がどんな表情をしているのかも分からない。私に向けて、笑っているのか怒っているのか、それ以外の気持ちを抱いているのか。
生憎泳げる服ではないし、貸しボート屋も見当たらない。はっきりした事柄を確かめる手段は、今は無い。
だから、おーーーーーーい。と、手を振った。
あの人も多分、振り返してくれた。そう思うことにした。
青春
公開:19/02/16 20:10
コメントもらえると嬉しいです
ログインするとコメントを投稿できます