悪い死神

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死神の俺は今日も死者の魂を迎えに町に降りた。
「ここに来るのも久しぶりねぇ…」
そう呟くのは俺についてきた高橋のババアだ。今日、俺が迎えに来たのはババアの旦那。どうしても自分も行きたいと言うものだから仕方なく連れてきてやった。
「チエ、チエなのか」
「そうよあなた」
二人は久方ぶりの再会を喜んでいる。俺はその間に手続きを進めた。
ジジイの行き先もババアと同じ天国でいいだろう。しばらくは向こうでバカンスを楽しめばいい。
あと転生後もまた夫婦になるよう取り計らっておこう。なに、俺だって神の端くれだ。これぐらいはできる。
「ありがとうございます。チエとまた一緒になれるなんて何とお礼をしたらいいか」
礼なんていらない。何せ、俺は魂を楽に手に入れることしか考えていない冷酷な死神だからな。
…何笑ってやがる?やめろ気色悪い!
ジジババの顔なんてもう見たくねぇ!早く天使の車に乗ってあの世に行っちまえ!
公開:19/02/16 18:34

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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