マラソン・デッド

　今日は朝から外がうるさい。バラバラとヘリコプターの飛ぶ音がしている。なんだろう。
　私はカーテンを開けると、窓の外を見た。上空には、やはり二、三台のヘリコプターが空を縫うようにして飛んでいる。今日はマラソン大会でもあったっけ？
　この寒い時期は、マラソン大会で盛り上がる。道路は交通規制がなされ、テレビでは毎年それを中継している。しかし、今日はどうだろう。マラソン大会の時期は、もう少し先だったような気がするが。
　そう思っていた矢先、私は窓の外に、遠くを走っている人影を見つけた。先頭を走る人影からは、その必死さが伝わってくる。ああ。やっぱり今日はマラソン大会なのか。
　私は机に朝食を並べ、テレビの電源をつけた。ニュースで流れ始めた上空からの中継映像には、ちょうど私の家の近くで走っていた人影が映っている。

「——〇〇市において、一部の市民が突如ゾンビ化し、他の市民が襲われている模様です」