クローズサンタ

6
5

サンタクロースが閉店した。正確にいえば長期休業に入ったのだ。
12月25日を終えてすっかり暇になったサンタは、クリスマスの準備を迎える秋頃まで何をしようかと考えた。
そんなサンタを見て、相棒のトナカイはこう言った。
「どうせならクリスマス以外のイベントを楽しみましょうよ。七夕とかどうですか?天の川を見たり短冊にお願いを書いたり、楽しそうですよ」
そんなわけで七夕当日。生憎天気に恵まれず曇り空となってしまったが、夜空一面に輝く星も七色に光るオーロラも見てきたサンタにとって、さほど重要なことではなかったらしい。
それよりも、短冊にお願いを書くという子供じみたイベントの方を楽しみにしていたようで、真剣な眼差しで何やら書いていた。
「何をお願いしたんですか?」
赤色の短冊を吊るしてきたサンタに、トナカイは尋ねる。
サンタはご自慢の白い髭を片手で撫でながら、こう答えた。
「人手を増やしてほしい」
ファンタジー
公開:19/02/17 01:51

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容