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開門前。庭を一望する広縁に通された私は、愕然とした。
「禅師。石が一つもありません!」
疑天竜安禅師は私に落ち着いて座るように促し、自身も柔和な表情で座禅を組んだ。
すると、雲を突き破ってたくさんの鮒のようなモノが落ちてきた。
それらは庭の白砂に触れた瞬間、そのまま静止した。また、白砂には水面のような波紋も生じて、それはだんだん広がると油塀に到達したところで静止した。
目の前には石庭が出来上がっていた。
「あれは何ですか? なぜ静止したのですか? なぜ波紋が?」
禅師は、柔和な顔で座禅を解くと、
「言葉でお伝えすることはできません」
と、私を庭へ向かって突き飛ばした。「あっ」という間もなく白砂の飛沫が上がり、私は… 庭に突き刺さるような姿で静止していた。
気がつくと、新幹線は品川を出たところだった。「またか」と頭を掻くと、呵々という笑い声がして、髪の間から白砂が零れ落ちた。
「禅師。石が一つもありません!」
疑天竜安禅師は私に落ち着いて座るように促し、自身も柔和な表情で座禅を組んだ。
すると、雲を突き破ってたくさんの鮒のようなモノが落ちてきた。
それらは庭の白砂に触れた瞬間、そのまま静止した。また、白砂には水面のような波紋も生じて、それはだんだん広がると油塀に到達したところで静止した。
目の前には石庭が出来上がっていた。
「あれは何ですか? なぜ静止したのですか? なぜ波紋が?」
禅師は、柔和な顔で座禅を解くと、
「言葉でお伝えすることはできません」
と、私を庭へ向かって突き飛ばした。「あっ」という間もなく白砂の飛沫が上がり、私は… 庭に突き刺さるような姿で静止していた。
気がつくと、新幹線は品川を出たところだった。「またか」と頭を掻くと、呵々という笑い声がして、髪の間から白砂が零れ落ちた。
ファンタジー
公開:19/02/15 20:58
更新:19/02/15 21:00
更新:19/02/15 21:00
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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