北風とチョコレート

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もしあの時、貴方に好きと告白できていれば、今隣に立っている彼女は私でしたか?
そんな質問をグッと飲み込む。答えのない質問。答えがあっても聞いてはいけない質問。
私は彼と親友の仲睦まじい背中を見つめる。心にチクチクと棘が刺さる。
バレンタイン、私は彼にチョコを渡すことが出来なかった。親友の、彼に告白するという本気の気持ちを聞いてしまったから。
親友を恨むことは出来ない。彼女は何も悪くない。悪いのは私。臆病風に吹かれ、何も行動しなかった私。
あの時、北風は私と親友の間に溝を作った。あの北風が私の背中を押す追い風になってくれていたら…後悔ばかりが押し寄せる。
彼の為に作ったチョコレートは涙が出るぐらい苦かった。作っている時はあんなに甘かったのに今は苦くて、しょっぱい。
「どうかした?」彼が私を心配する。
「何でもないよ」そう笑うが私の心は血を、涙を流す。
失恋がこんなにも辛いなんて知らなかった。
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公開:19/02/15 17:54
更新:19/02/15 18:26

幸運な野良猫

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元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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