朝採れファクト

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なんて清々しい朝なんだ…。
もしくは、
なんてガスガスしい朝なんだ…。
それは高速で回転する巨大なコインの裏表のようで、判別がつかない。
肩パットをしこたま詰め込んだダブルのスーツを着込んでタックルをかましても、あっさり弾き返されることがわかりきっているから、もうやらない。
ただ見つめているだけ。
ただ、見つめていたいだけ。
あなたを。
この朝を。
気付きようもない、回転するコインのようなあらゆる無音の瞬間を。
ダブルのスーツを着込んで。
下はあえてデニムで。そしてロールアップかまして、ナイキのスニーカーできまりさ。
「just do it!」
どこからともなく聞こえてくる観衆の声援。ないしは罵声。嘲笑。たとえば生卵という名の励まし。たとえば、カラーボールという名の追跡。そんな、あらゆるレスポンスに愛を感じて何が悪いというのだろうか?
私は、国家斉唱が終わるやいなや、一目散に逃げ出した。
青春
公開:19/02/15 10:31

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