赤い糸は果てしなく

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「早く結婚しなさいって言われてもなぁ…」
女性が困った顔をしながら歩いていた。
「そもそも出会いがないし…」

「ですよね!」
突然スーツ姿の男が話しかけてきた。
「え?あなたは…」
「そんなことより、これを見てください」
男の手に赤い糸が垂れ下がり、端は女の小指に繋がっていた。
「これ、運命の赤い糸なんです。」
「え?」
赤い糸は交差点の中で複雑怪奇に絡み合い、
大勢の人達の中で幾重にも重なり、ビルの谷間に蠢いていた。
「世界が複雑すぎて、絡まってるんですよ。」
女の人は驚き、赤い糸を呆然と眺めた。

つかの間、女の人は何かを決意したように
どこまでも果てしなく絡み合う赤い糸を手繰り始めた。
「どうする気です?」
「誰かににつながっているんでしょ?」
女は終わりのない赤い糸を丁寧にたどり始めた。
スーツ姿の男は笑顔で女の人の背中を見送った。
「あなたなら、きっとたどり着けますよ。」
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公開:19/02/16 11:24
更新:19/02/16 11:30

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