あどけない冬の話
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「東京に冬が無い」
僕は妻があどけない話でもしているのかと思ったが、雪国で育った妻はどうやら本心でそう言っているようだった。
次の週末、妻に誘われて電車に乗り、着いた先は肉まんの専門店だった。
高菜肉まん、エビチリ肉まん、ゴマ入りあんまんなど、色とりどりな中から、妻はホワイトアウト肉まんを2つ買った。
僕は肉まんを一口食べた。一口目は分厚い皮の部分しか食べることができなかった。「具が少ない」と妻に言おうと顔を上げると、目の前には一面の銀世界が広がっていた。
妻は嬉しそうに肉まんを頬張っている。
食べ進め、具に到達した瞬間、突然の猛吹雪で視界が真っ白になった。目の前にいるはずの妻の姿すらよく見えない。寒いを通り越して痛い。僕は急いで肉まんを食べ終えた。
最後の一口を食べ終えた妻はご満悦の様子だ。
毎日のように雪が降る白い冬が妻のほんとうの冬だという。
あどけない冬の話である。
僕は妻があどけない話でもしているのかと思ったが、雪国で育った妻はどうやら本心でそう言っているようだった。
次の週末、妻に誘われて電車に乗り、着いた先は肉まんの専門店だった。
高菜肉まん、エビチリ肉まん、ゴマ入りあんまんなど、色とりどりな中から、妻はホワイトアウト肉まんを2つ買った。
僕は肉まんを一口食べた。一口目は分厚い皮の部分しか食べることができなかった。「具が少ない」と妻に言おうと顔を上げると、目の前には一面の銀世界が広がっていた。
妻は嬉しそうに肉まんを頬張っている。
食べ進め、具に到達した瞬間、突然の猛吹雪で視界が真っ白になった。目の前にいるはずの妻の姿すらよく見えない。寒いを通り越して痛い。僕は急いで肉まんを食べ終えた。
最後の一口を食べ終えた妻はご満悦の様子だ。
毎日のように雪が降る白い冬が妻のほんとうの冬だという。
あどけない冬の話である。
その他
公開:19/02/14 11:54
スクー
北海道出身です。
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