タイヤくんとゲレンデちゃん

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タイヤくんが、真っ白くてキラキラ煌めくゲレンデちゃんに一目惚れした。
タイヤくんは自分をアピールするために走りまわった。
しかし、ひょろくて、のっぺりしているタイヤくんは空回りするばかりで、全く良いところを見せられずにいた。
「私、がっしりで、ホリの深い感じが好みなの」
ゲレンデちゃんにそう言われたタイヤくんは、そそくさとその場を後にした。

翌年、タイヤくんが再びゲレンデちゃんのもとにやって来た。
「あら……」
ゲレンデちゃんが目を見開く。
タイヤくんが、がっしりで、ホリの深い風貌になっていたのだ。
恋の力とは恐ろしいものである。
一年で見違えるほど逞しくなったタイヤくんが、アピールのために走りまわった。
その熱量にゲレンデちゃんは心を奪われていた。
その時、タイヤくんが動きを止めた。
「あれ? ゲレンデ、ちゃん?」
ゲレンデちゃんはタイヤくんの熱で、すっかり雪化粧が取れてしまって……。
その他
公開:19/02/13 23:50
ゲレンデがとけるほど 恋したいスタッドレス スクー

壬生乃サル

まったり。

2022年…3本
2021年…12本
2020年…63本
2019年…219本
2018年…320本 (5/13~)

壬生乃サル(MiBU NO SARU)
Twitter(@saru_of_32)

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