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 阿鼻叫喚の地獄のような中をどうやって逃げてきたのか。
 俺一人が助かった。異臭を放つ汚水の中をなす術もなく流されていく。
 一瞬の判断を誤ったことを悔やんだ。仲間とともに定宿にとどまるべきだったのか。
 助かる助からないは紙一重だ。仲間の多くを失った。俺以外、みんなやられちまったんじゃないか?
 気がついたらいつの間にか下水道から川へと流されてきた。優しく穏やかな河の流れの行き先は海だ。
 誰も俺には目もくれない。たった一人だ。
 ゆったりとたゆたう波間の向こうに釘付けになった。
 養殖場だ!
 おそらくあれは牡蠣の養殖場にちがいない。このまま海流に任せれば養殖場へ辿り着ける!
 牡蠣に忍び込もう。これから、牡蠣鍋、牡蠣フライがおいしい季節だ。おーっと、いけない。いけない。加熱は命取りだ。おすすめは生牡蠣にレモン汁をさっとかける。これがオススメだね。
 俺に一条の光が差し込んだ。
その他
公開:19/02/14 23:41
schoo 合宿も視野に入れたノロウイルス

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