朝茶の難

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「朝茶飲んでけ」
婆ちゃんはお茶にうるさかった。
「朝茶は災い除けになる。忘れると縁起が悪い」

まさに朝茶を飲み忘れた日に婆ちゃんは死んだ。外で倒れてたのを母さんが見つけた。

婆ちゃんがそんな風に死んだこともあって、欠かさず朝茶を飲むようにしてたけど、その日は寝坊した上、遅刻できないテストの日だった。
母さんが「朝茶飲んでけ!」と叫ぶ。
「時間ないって」
僕は玄関を出て走り出した。

「待って」
声が追いかけてくる。
振り向くと、死んだはずの婆ちゃんが凄い形相で湯呑と急須を持って走ってくる。
「待て!朝茶に別れるな!」
「うわあぁ」
婆ちゃんの後ろからはでかい鬼が追っかけて来てた。
婆ちゃんが僕に追い付き急須と湯呑を渡す。
「飲め朝茶だ」
その瞬間、婆ちゃんは鬼に踏み潰された。
「ああっ!」
鬼が向かってくる。僕は急須から直接お茶を飲…


空だ。

鬼の手が僕の頭をぐしゃりと潰した。
その他
公開:19/02/14 23:15
更新:19/02/15 00:42
綿津実さんリク お茶黒バージョン

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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