北風とチョコレート

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「お前なんか、もう俺の娘じゃない。この家から出ていけ」
「それなら、出て行ってやるわよ。このわからずや」
私は駆け足で家を飛び出した
外へ出ると目の前には雪景色が広がっていた
「私は絶対に夢を叶えてみせる。そして、アイツを見返してやるんだ」
そう心に決意し、ぬかるんだ雪道をゆっくりと歩き、町外れの駅へ向かった
3年後
私は夢を叶えるため、勢いで上京したものの上手くいっているとは言えなかった。夢を実現するためには資格を取得しなければいけないし、生活費も稼がなければいけない。正直、私は夢を諦めかけていた
プルルル
「あっ、幸子。大変なの。父さんが、父さんが」
2月14日
その日は父の命日になった
私は父の墓前に手作りのチョコをそっと置いた。
「馬鹿親父、私、絶対に夢を叶えて見せるから」
五年後
私はとうとう夢を叶えた
しかし、その頃には父と過ごした楽しい記憶は私の中から消えていた。風化したのだ
公開:19/02/14 20:01
更新:19/02/14 20:34

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