北風とチョコレート

おー、これはこれは南風殿、お久しぶりでござる。かれこれ一年ぶりかのぉ
ささ、近うよれ。外は寒かろう。こちらの暖炉で体を温めなされ
かたじけない、北風殿
それはそうと噂で聞いたぞ。今回は南国の旅だったそうではないか。疲れたであろう。
ははは、それほどでもない。ああ、そうだ。これはお主への土産じゃ。遠慮なく受け取ってくれ
これは何じゃ
さあ、儂も知らぬ。だが、風の噂ではチョコチョコ歩くそうじゃ
まことか。だが、見たところ動く気配がないのう
それはきっとお主がおるから緊張して固まっているのだろう
なるほど、そうであったか
誰か、誰かおらぬか
ははあ、何でございましょうか、殿
うむ、これは南風殿から頂戴した生物じゃ。お前に世話を免じる
ははあ、畏まりました。んっ、と、殿、恐れながら申し上げます
なんじゃ
この生物はもう既に死んでおります
なんじゃと、あい、分かった。それでは後の処分はお前達に命じる