夜烏

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夜なのに、カァカァと烏がうるさい。ゴミに埋もれたベッドの上で目を閉じ、耳をすました。
バアさんの言葉を思い出す。夜烏が鳴くと死人が出る、烏は魂を運ぶのだと話していた。バアさんが死んだ日も烏がうるさかったな。
烏につつかれる自分の死体を想像し、急に恐ろしくなって、永遠に閉じてしまいそうな重たい瞼を震えながら必死に持ち上げる。
闇を集めてきたような漆黒の髪をバサリと垂らした女が、零れ落ちそうな眼球で私の顔をぐいと覗き込んでいた。
「あら、まだだった。でももういいわね」
女は鳴くように喋り、私の身体に指を入れると糸のようなものをズルと引っ張り出して、綿あめのようにくるくると巻き始めた。私は端からどんどん解けていき、とうとう一個の毛糸玉のようになった。
「ほうら、もうお前は何ものでもない。さあ、次はどんな形に編んであげようか」
女はそう言ってたくさんの毛糸玉の入った籠に私を投げ入れ、カァと鳴いた。
その他
公開:19/02/12 23:52

むう( 地獄 )

人間界で書いたり読んだりしてる骸骨。白むうと黒むうがいます。読書、音楽、舞台、昆虫が好き。松尾スズキと大人計画を愛する。ショートショートマガジン『ベリショーズ 』編集。そるとばたあ@ことば遊びのマネージャー。

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