同じ窓

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僕はいつも通りに、ドアを開け、教室の中に入った。

同級生達がサバンナに住むハイエナのような目つきで、僕が着席するのをにんまりとした目で追った。

僕は冷たい眼差しを気にもせずに、自席についた。

「痛っ」
反射的に椅子から立ち上がり、椅子の上にばらまかれた画鋲に目をやった。

痛がる様子を、同級生達は遠巻きでくすくすと嗤っていた。

尻から流血した血が、制服のズボンに染みをつくった。

僕は、いじめをした犯人と思わしき、同級生達のほうを見た。が、誰とも視線は合わなかった。

誰にでも優しいと評判のマドンナでさえも、二次災害に遭わないように、何も見ていないかのように息を殺した。

結局、犯人が分からずじまいのまま、朝のホームルームが始まった。

先生は、僕の椅子の下に落ちた不自然な画鋲に目を落としたが、普段と変わらぬ様子で生徒達に話しを始めた。
その他
公開:19/02/12 19:03

神代博志( グスク )









 

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