人は見た目に騙される

露天商の私は手作りアクセサリーを道路脇に広げていた。
一人の男性が一番安いアクセサリーを購入し、それを目の前で壊した。
それをゴミのように捨て「ここは商売禁止区域だ！」と怒鳴りつけてくる。
注意してくるならそれに従った。許可も取らずここで露天商をした私も悪い。
でも、こんなの酷すぎる！
私は涙ながらに背中のファスナーを開けた。
気弱そうな女性の皮を脱ぎ、筋骨隆々な屈強な男の姿となった。
私の姿を見て男性は震えあがる。
「あっ！いや…これは…その…」
しどろもどろになる男性に私は怒りの表情で腕を伸ばす。
男性は悲鳴を上げて逃げて行った。
あれは弱そうな私の姿を見てストレス発散のためにやったのだろう。
私は商品を回収し、今日は帰ることにした。

家に帰った私は筋骨隆々な屈強の男の皮を脱ぐ。
今日は寒かったからこれぐらい厚着する必要があったのだ。
赤頭巾は狼マークの他人になれる皮。とても便利だ。