たらればの話

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俺はダメな奴だ…もっと上手く出来れば…もっと上手く出来たら…後悔とため息ばかりが出る。
「お客さん、今日もたらればばかりだね。そんなアンタに食ってもらいたいものがある」
居酒屋の大将がそう言って出してきたのは生臭い魚の肝だった。これを食えと?
「こいつはな、鱈の肝。鱈レバーだ」
ダジャレかよ。
「いやいや。こいつは食べると後悔していること、たらればのあの時に戻る力があると言われているんだ」
本当か!?
「まあ、食べてみればわかることだ」
俺は大将に勧められ、鱈レバーを食べた。うん。生臭いが悪くない。
しかし食べても一向に時は戻らない。大将、どういうことだ?
「?お客さん、そいつにはあの時に戻る力があると言われているだけで、本当に戻れるかどうかは別問題だ。それもまた、たらればの話よ」
俺はまんまと騙されたのか…
「飯だけにな」
うるせぇ。
…しかし鱈レバー、意外と美味い…大将!おかわり!
公開:19/02/13 18:39

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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