てるお

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合コンの席に祖父がいた。
割といい感じのメンバーだと聞いていたから、私は少しだけ気合いを入れた服とメイクで、少しだけ遅れていった。学生同士の5対5のはずがひとりだけ仏壇のようなにおいの人がいて、それが祖父だった。
祖父はかしこまった山形弁で友だちの優衣に話しかけている。緊張なのか、もう酔っているのか、赤い顔。一張羅のジャケットに入れ歯にループタイ。すべて祖母が買い揃えたものばかり。
元気かなぁ、祖母。
いや、それより目の前だ。いったい何が起こっているのか。エイプリルフールはまだ早い。私に気がつかないほど祖父は優衣に夢中だ。
今、優衣の胸元を見た。
そのだらしない鼻の下。
その顔をひっかいてやりたい気分だけれど、経験のない混乱の中でどうしていいのかわからない。
二次会はカラオケ。
Superflyを歌いあげる祖父。
誰かが私に話しかけているが、もう何も耳に入ってこない。
もう何も見たくない。
公開:19/02/13 10:38
更新:19/02/20 11:08

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