引退マッチ2

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オファーは突然やって来た。
野獣と呼ばれた女子柔道家が昼のワイドショーでの引退会見中に、我が家最強生物である嫁との引退試合を希望すると発表したのだ。
先日のレスリング選手の引退マッチ、異種格闘戦での嫁を見て決めたらしい。
嫁は昼ご飯準備の手を止め、キッチンのカレンダーを見ながら、今日夕方ならOKね・・と呟きどこかへ電話した。
そして慌ただしくなった。
私と娘で会場を借りる手筈を整え、更に代理人と異種格闘ルールを取り決めした。柔道経験の無い嫁は、掃除用具の使用が許可された。
夕方、両者が会場に到着。
一頃を彷彿とさせる野獣の眼光。
対する嫁は左右にハンディー掃除機を持っている。シンプルな構えだが吸引力は抜群だ。
試合開始!
スイッチON!掃除機が咆哮する!ギュイーン!
ギュギュギュイーン!
今コタツで目を覚ました私のお腹の辺りに、掃除機をグリグリ押し付けて、嫁は何かを吸い込もうとしている。
ホラー
公開:19/02/11 15:27
更新:19/03/13 13:34

みのる( 愛媛県産、現在広島県に生息。エサを求めて中四国の人里に出没中。 )

心に響く爽やかなお話しをお送りしたいのに、ああそれなのに・・・

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