8
6

山奥の神社に売られているお守り。
ペンダント程の大きさの、小さな鹿のお守りが、三角の透けた袋に入れられている。父に買ってもらったお守りだった。
ある時、学校で悲しいことがあった。誰もいないトイレの個室で、涙を流していると、鞄につけたお守りがモゾモゾと動いたきがした。
不思議になって透けた三角の袋の中を覗いてみると、鹿が目を覚した素振りをみせた。やはり動いている。
と、次の瞬間、鹿の声が聞こえた。
「悲しい時、一度だけ願いを叶えてあげるよ。」私はとっさに、「もっと綺麗になりたい。今の自分が嫌い、生まれ変わりたい。」と強く願った。
願いを聞き入れた鹿は、目を閉じて動かなくなる。
次第に私の身体は熱くなり、たまらずトイレの個室から出た。フラフラとよろめきながら、洗面台へ手をかけ、鏡の中を覗き込む。そこには、自分とは思えないほどの美しい自分がいた。しかし、頭には重たく角が生えている。鹿よ…鹿よ…
ファンタジー
公開:19/02/11 13:05
更新:19/02/11 13:38

みついあゆみ

​​​​​​イラスト描く時に、物語を考えることが多いです。物語が前後、つながっている場合があります。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容