自由席

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座れば少しの違和感を覚える市民図書館の学習室の机。学校のよりも少し高いからだろう、猫背の私の背も自然と伸びる。

なにより広い。
学校では教科書とノートを半ページずつ重ねて置かないと机からこぼれてしまう。でもここでなら目いっぱい広げてもあり余るスペースがある。そこに課題を終えた後に読みたい小説を置いておくことだってできる。

学校と違ってどこに座ったっていい。だからこそ来るたび悩まさせる。どこだっていいから尚更悩む。
でも今日は目印があった。だから目当ての席まで一直線に向かい、椅子に座る。

トートバッグから勉強用具を出しつつ、前の方を盗み見る。

日に焼けた肌に真っ黒な短髪、広い肩幅。

机を2つはさんだ前の席に彼を眺められる。彼の匂いや体温まで、とはいかないがこれくらいがいい。
クラスで席が遠くの彼とも、ここだとずっと近くに感じられる。
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公開:19/02/09 22:26

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