積切10センチ

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ー22時から23時にかけて、10センチの積雪がみられるでしょう。

テレビのなかのアナウンサーは、淡々とそう告げた。
あぁ、今夜は雪が降るのか。明日は土曜だし、大学も休み。何もすることがないし、暇な一日になりそう…。

ソファーに寝転びながら、スマホのロックを解除する。しかし、望んでいた通知は来ていなかった。
大学生になり、彼とは遠距離恋愛になってしまった。私は地元、彼は東京。簡単に会うこともできないし、高校生のときより連絡を取るのも少なくなった。
あぁ、これじゃ、積切だよ…。
“寂しい”と“恋しい”とが、心に積もって10センチ。もう、生活に支障をきたし始めますよ…なんて、呟いて悲しくなった。

それから、10分後。
スマホがお馴染みのメロディを奏でる。彼からの電話だ。
“寂しい”と“恋しい”を置き去りに、胸が高鳴るのを感じた。

あ…除切機…。
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公開:19/02/09 22:07
積切 除切機

すみれ( どこか。 )

書くこと、読むことが大好きな社会人1年生。
青空に浮かぶ白い雲のように、のんびり紡いでいます。
・プチコン「新生活」 優秀賞『また、ふたりで』
・ショートショートコンテスト「節目」 入賞『涯灯』



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