惜別
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                                庭から戻ってきた祖母は、もとより曲がっていた腰をさらに屈めて棺へと擦り寄り、読書が趣味だったという祖父が極楽へ辿り着けますように、と願いを込めて、白装束を覆う菊の傍らに、庭で摘んだ蜘蛛の糸をそっと垂らして微笑んだ。
    
        その他
      
      公開:19/02/09 20:42      
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