54字のアソート・アゲイン 1

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※第3回54字の文学賞に応募したもの+αをいくつか詰め込んでみました。(再掲に際して改行を加えています)

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『リフォーム』

「リフォームをしたから見においで」
という母からの電話で実家を訪れた。玄関を開けたのは、知らない顔の女だった。


『足場』

家の改装が終わったが組んだ足場がなかなか外されないため、大工へ尋ねてみた。
「まだちょっと痺れてるみたいっす」


『プロポーズ』

プロポーズはダイヤのリングで。そんな彼女に応えるべく手を尽くし迎えた当日。俺は気合いをいれてロープを潜った。


『鮮魚店』

ある日、鮮魚店の店頭から、魚が全て盗まれてしまった。困った店主は残り物をかき集め、ジンギスカンの店を開いた。


『熱い男』

父は、すぐに熱くなる男だった。それを宥めていたのは母だった。母が亡くなった今日、父の姿はない。蒸発したのだ。
その他
公開:19/02/09 13:10

ゆた

高野ユタというものでもあります。
幻想あたたか系、シュール系を書くのが好きです。

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