今度のUSドル

　アメリカ大統領が「今度のドル」政策を打ち出した。週替わりでドルの価値が、コンピュータでランダムに変えられる。１ドル＝１００円が、翌週３６０円に大幅下落することもある。さらには、１ドル＝１００カエル、というレートもある。
　「今週のドル」が始まってから、ドルは常に世界から注目され、アメリカ経済の成長につながった。そして遠く離れた発展途上国S国にも思わぬ恩恵を与えた。
　雨の多いS国のとある県知事は、１ドル＝１００カエルの情報に気が付くや否や故郷の村に電話した。村人は総出でカエルを捕まえ、県知事は大量のカエルを取引所に持ち込んだ。そして交換したドルで村に学校を建てた。後にこの村からは、国を率いる優秀な若者を多く輩出した。
　予測のつかない「今度のUSドル」には、多くの人が最後の望みをかけ、今も負けの込んだギャンブラーが一発逆転を狙っているようだが、この村ほどの成功譚を聞いたことはまだない。