村興し

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僕の生まれた村は過疎化で消えてしまった。
僕は故郷が消えてしまう人を見たくないと思ったので、
村興しに参加することにした。

村興しの朝は早く、集合は朝の4時。
寂れた村の前に、男の人が10人横一列に並んでいた。
僕も慌てて列の一番左に並ぶ。
なんでこんな朝早いんだろう?僕は隣の男に聞いてみた。
「そりゃ、朝早くなければ意味がないからさ。」

なんのことだろう?
その時「せいの!」という声が聞こえた。
すると男たちは突然一斉に大きな声を出した。
「おはようございます!!!」
その瞬間、村に明かりが点り出した。
雑草は吹き飛び、家はピカピカになっていく。
村は突如目覚めたように、元気に明るくなっていった。

隣の男が言った。「村は起きた。もう大丈夫。」
僕は村を見た。たしかにこれなら村が消えてしまうことはないだろう。
僕は夜明けの空気を胸一杯吸い込んで、村に「おはよう!」と言った。
ファンタジー
公開:19/02/10 14:07
更新:19/02/10 14:49

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