女王は鏡の中へ

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朝、あくびをした僕を見て、夜ふかしはダメとママが怒る。本当は全部妹のせいなのに。
あいつは僕から玩具を強奪し、占領した二段ベッドの上で夜遅くまで騒いでるんだ。
でも誰も信じてくれない。妹は狡くて、みんなの前ではお姫様と呼ばれるような子だからね。とんでもないよ、部屋では女王様だ。
そんなある夜、鏡の中から僕が出てきたんだ。驚いたよ、体は左右逆だけど僕には違いないんだからね。
話を聞くと、鏡の中の世界には僕と僕の家しかないらしく、寂しいから彼女が欲しいんだって。そこで僕は妹を説得し、夜の間だけ鏡の中の家に泊まってもらうことになった。
やったね、これで夜だけは僕が部屋の王様だ。ところが次の夜から僕の部屋に、僕が泊まるようになった。妹のせいで眠れないらしい。
夜の間は部屋中どころか家中を征服出来るようになったのだから、うるささ倍増だろう。
そんなわけで、今夜も鏡の僕は二段ベッドの下で眠っている。
ファンタジー
公開:19/02/10 08:49
更新:19/03/12 18:47

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