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仕事でたまに下りる駅には、小さなロータリーを挟んで二軒の中華料理店があった。ロータリーにあわせて店舗もそれなりだ。満福楼と一品菜、そんな大食いする歳でもないけれど、どうしたってマンプクの響きは魅力だ。
滅多に来ないのだからイッピンも味わってみてはどうかと思いつつ、気づけばマンプクへと足が向く。いつもの担々麺と炒飯セットは、辛みのきいた白胡麻たっぷりスープは絶品だけれど、炒飯には葱と卵しか入っていない。それでも客入りが悪くないのはやはり店の名前によるものか。
その日も私は色の無いチャーハンを蓮華ですくい上げていた。そして、ふと焦点をロータリーの向こうに当てた。自分はおろか知性の存在しない宇宙など実在しないも同然。思いがけずロンリーワールドに思いを巡らせた。すると、一人の男が満足げに一品菜を出た。嗚呼、世界にはあらゆる可能性が準備されている。私は蓮華をスープに浸して、それを啜り上げた。
滅多に来ないのだからイッピンも味わってみてはどうかと思いつつ、気づけばマンプクへと足が向く。いつもの担々麺と炒飯セットは、辛みのきいた白胡麻たっぷりスープは絶品だけれど、炒飯には葱と卵しか入っていない。それでも客入りが悪くないのはやはり店の名前によるものか。
その日も私は色の無いチャーハンを蓮華ですくい上げていた。そして、ふと焦点をロータリーの向こうに当てた。自分はおろか知性の存在しない宇宙など実在しないも同然。思いがけずロンリーワールドに思いを巡らせた。すると、一人の男が満足げに一品菜を出た。嗚呼、世界にはあらゆる可能性が準備されている。私は蓮華をスープに浸して、それを啜り上げた。
ファンタジー
公開:19/02/07 23:16
更新:19/02/23 18:13
更新:19/02/23 18:13
作文とロックンロールが好きです。
https://twitter.com/9en_T
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