留守宅ラジオ
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誰もいない部屋で、ラジオのスイッチが入る。
「留守宅ラジオです。まずはお便りから…」
白いカーテンに洗濯物の影がゆれる。外はよく晴れているのだろう。
「ずいぶん留守が続いてるんです。もちろん旅行かもしれません。でも、なんか違う気がして」
蜘蛛がつうと降りてきて、床に着地した。その分だけ空気がさざめく。
「変なんです。急に部屋が片付いていて。吸い殻の山も、割れてた写真立ても見当たらない」
壁の穴も綺麗にあて紙がしてある。
「帰ってくれば留守じゃない。会えないことくらい分かってます。でも、心配なんです。留守宅の皆さんなら、こんな気持ち分かっ…」
ラジオがプツンと切れる。と同時に、玄関のドアに鍵が挿し込まれた。
乱暴な足音に混じって、名前が何度も叫ばれ、そして、カーテンを引く音を最後に、ふたたび静かさが戻った。
洗濯物が揺れている。久しぶりに舞った埃が、ゆらゆらと輝いている。
「留守宅ラジオです。まずはお便りから…」
白いカーテンに洗濯物の影がゆれる。外はよく晴れているのだろう。
「ずいぶん留守が続いてるんです。もちろん旅行かもしれません。でも、なんか違う気がして」
蜘蛛がつうと降りてきて、床に着地した。その分だけ空気がさざめく。
「変なんです。急に部屋が片付いていて。吸い殻の山も、割れてた写真立ても見当たらない」
壁の穴も綺麗にあて紙がしてある。
「帰ってくれば留守じゃない。会えないことくらい分かってます。でも、心配なんです。留守宅の皆さんなら、こんな気持ち分かっ…」
ラジオがプツンと切れる。と同時に、玄関のドアに鍵が挿し込まれた。
乱暴な足音に混じって、名前が何度も叫ばれ、そして、カーテンを引く音を最後に、ふたたび静かさが戻った。
洗濯物が揺れている。久しぶりに舞った埃が、ゆらゆらと輝いている。
ファンタジー
公開:19/02/07 23:00
400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。
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