優しい人

優しい人は誰にでも優しいから嫌い。私だけに優しい人は愛が重すぎて、やっぱり嫌いだ。

誰かの１番になりたくない。それは悲しいと言う人もいるけど、裏切られないのは、それだけで心が自由だ。妻子持ちの男性に片想いをし、恋愛ごっこにすり替えて、大概は満足してしまう。

だから予感がしたのに、近づいてしまったことを後悔した。ピアスをもらった時、嬉しさよりも悲しさが襲った。

冷めたところから、私じゃなくて彼女に優しくしてほしいと強く思った。友達である彼女に。旦那に愛想を尽かしたと愚痴っていた彼女に、この優しさをあげてくれたらいいのに。

汚い優越感で満たされる自分に泣きそうになるけど、反面私は彼女の代わりにされているのだと、深く分かっている。

恐る恐る抱き締められた。あなたの匂いに包まれ、私は唇にそれが降る前に、あなたの耳たぶを噛んだ。

まだ始まってもいないと思ってたのに、もう戻れないと思った。