ガイシャで迎えにやってくる

生前、社長だった儂もついに寿命で亡くなった。
儂は足元を見下ろす。そこには儂の冷たくなった体があった。
頭上を見上げると天使が儂を迎えにやってきた。
「山田様ですね？さ、あの世に参りましょう」
儂は眉を顰める。あの世まで歩けというのか？そんなのは御免だ！
そう言うと天使はどこかに電話をかけた。
「山田様。すぐに迎えの車が来るそうです」
数分後、儂の目の前に停まったのは高級車だった。それも夢にまで見ていた高級外車ではないか！
「貴方より先に亡くなった部下が奮発したようです」
高級外車を迎えに寄こすとは儂より先に死んだ連中も気が利くな！
儂は嬉々として乗り込んだ。さ、天国まで行ってくれ。
「？山田様は天国ではなく地獄に行くんですよ。それにこれは貴方の被害者達が貴方を待ちきれずに用意した燃える車です。そう火ガイシャとでも言うでしょう。過去には火車なんて呼び方もされていましたね。では参りましょう」