恋物語が終わるとき

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コンビニのイートインコーナーでおでんを食べていた。
「高崎さん?」
振り向くと、うちの会社でパート勤務している松本さんだった。
「あ、どうも」
「ここで夕食?」
「まあ、独り者なんで」
松本さんは僕の近所に住んでるシングルマザーだ。
その娘さんもやってきた。
「お兄ちゃん、ママのおでんのほうが、ずうっと美味しいよ」
「ミカ、余計なこと言わないの」
「食べたいです!松本さんのおでん」
なぜか、勢いで言ってしまった。
「あ、はい。よければ」
お互いどこか意識していたのはわかっていた。
週末、彼女がおでんを作りに来るようになり、僕たちの距離は急接近した。

その日の夕食。
「ねぇ、一緒に住めば」
それはミカちゃんが僕を公認ということだった。
もう近所の奥さんじゃない。
僕のだ。もちろんミカちゃんも。

恋物語は終わる。これから始まる家族物語。おでんのような、温かい愛情が染み込んだ家族でありたい。
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公開:19/02/05 17:58
スクー 近所の奥さんも来る一人暮らし

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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