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店裏の壁に煙草の焦げを見付け、しゃがんで肩を落とす。
今月に入って何度目だろう。すぐ脇の通りを挟んで有名な不良校があり、近隣の店は軒並み煮え湯を飲んでいる。
硝子を投石で割る。商品や掲示物を壊す。スプレーで落書きする。万引きや夜中の騒音。学校を訴えても、紋切りの詫びで終わりだ。業を煮やしてカメラを設置するも、悪戯で駄目にされて諦めた。
散らばった吸い殻やゴミをバケツに投げ込む。ばら撒かれるよりマシかと置いたが、効果は薄い。
ペンキを塗ったところで、上に捺される鼬ごっこ。あちこち剥げて黒ずみ、落葉か花でも散らした様。それでも消さないと、次が怖い。
白で潰す気だったが、思い立って色筆を握る。焦げを繋ぎ、背伸びをする猫を描く。色を変えて棚を据え、猫の手元へ鍵の束などあしらう。悪くない絵だ。
翌日、宙に浮いた猫の下に、踏み台が描き足してあった。
――なかなか味な真似をする。つい笑ってしまった。
今月に入って何度目だろう。すぐ脇の通りを挟んで有名な不良校があり、近隣の店は軒並み煮え湯を飲んでいる。
硝子を投石で割る。商品や掲示物を壊す。スプレーで落書きする。万引きや夜中の騒音。学校を訴えても、紋切りの詫びで終わりだ。業を煮やしてカメラを設置するも、悪戯で駄目にされて諦めた。
散らばった吸い殻やゴミをバケツに投げ込む。ばら撒かれるよりマシかと置いたが、効果は薄い。
ペンキを塗ったところで、上に捺される鼬ごっこ。あちこち剥げて黒ずみ、落葉か花でも散らした様。それでも消さないと、次が怖い。
白で潰す気だったが、思い立って色筆を握る。焦げを繋ぎ、背伸びをする猫を描く。色を変えて棚を据え、猫の手元へ鍵の束などあしらう。悪くない絵だ。
翌日、宙に浮いた猫の下に、踏み台が描き足してあった。
――なかなか味な真似をする。つい笑ってしまった。
ミステリー・推理
公開:19/02/05 14:00
※画像はシールと実物MIXです
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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