百合に酔う

4
4

百合の花が咲いた。

主人を亡くし荒れ果てた庭の隅に。

命の芽生えを喜ぶかのように清かに。

愛おしさに満ちた産声を聴き柔らかな表情で身体を揺らす。

幸せとは何かをまるでわたしに教えようとするかのように。

ふわりと甘くそれでいて妖しい香りが鼻を抜ける。

思考ごと酔わされわたしはふっと目を閉じた。
その他
公開:19/02/05 13:26

きざはしと同一人物。
140字小説を書きます。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容