禁忌と肉饅頭

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「日本人、神の山に登るのをやめないのか?では、これを持っていきなさい。お守りだ。饅頭の語源だよ」

俺はアルピニスト。
まだ誰も登頂していない未踏峰の山、この雪山を登る。現地のポーターはこの山は神の山だから登頂は無理だ。行く前に死ぬと言ったなと…
そんな行く間際の会話がこの真っ白な吹雪で思い出される。
ああ!最悪だ!
吹雪は、魔物が俺を引き込む呻き声に聞こえる。気味が悪い。
お守りを開ける。
冷めた肉まんだった。
フッ、鼻から息がでる。
「饅頭の語源ってなんだ?」
俺は同じテントで救助を待つ安田に聞いた。
「ああ饅頭?生贄の首だよ。山に人の首を捧げるのをやめさせる為に肉の詰まった饅頭を投げさせたんだよ」
「よく知ってるな」
俺は山に肉まんを放り投げた。すると吹雪はやみ、静寂に満ちた。

俺たちは何か触れてはいけないものに触れてしまったのだろうか。

救助のヘリがやってきた。
ミステリー・推理
公開:19/02/05 06:00
更新:19/02/05 16:57
スクー ホワイトアウト肉まん

さささ ゆゆ( 東京 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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