雨の日の彼女は眠たい

7
8

 今日は休日だ。私が目を覚ますと、「おはよう」の時間はとっくに過ぎてしまっていた。それに、どうやら外は雨のようだ。
 窓に打ち付ける雨は、私達の部屋に音楽を届けてくれている。それは平日に聞く雨の音とは違う、心地よい響きだった。
 私は彼女に問いかける。
「雨の音ってなんだかいいよね」
 しかし彼女は、何も言い返さない。普段から言葉数の少ない彼女だが、今日はまた一段、黙り込んでいる。
「今日は一日中雨かな」
 私がそう呟くと、彼女は大きなあくびをして、その場で寝っ転がった。
「今からお昼寝かい? 僕はさっき起きたばっかりだから一緒には眠れないよ」
 彼女は何も言わない。私はそんな彼女を見て、ついつい忘れてしまっていた事を思い出した。
「もうお昼ご飯は食べたかい?」
 彼女は、その言葉を待っていたようだった。
 彼女は寝転がったまま、耳だけをこちらに向けると、しっぽをゆっくりと振った。
その他
公開:19/02/03 19:49
更新:19/02/03 19:53

花脊タロ( 京都 )

純文学系の作品を読むのが好きなので書く方も純文学よりのものが多くなります。

ご感想頂けると大変嬉しいです。

Twitterも是非フォローしてください。
ホームページには自身の全作品をまとめて掲載しています。
Twitter→http://twitter.com/hnctaro
ホームページ→http://hnctaro.wordpress.com

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容