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「ただいま」
家に帰ると玄関で両親が鬼の面を被って待っていた。
赤鬼の面を被った母が升に入った豆を差し出してきた。ああ、今日は節分か。
私は豆を受け取ると両親に投げつけた。
「鬼は~外。福は~内」
両親はされるがまま豆をぶつけられる。
「鬼は~外。福は~内」
じっとこっちを見つめ微動だにしない。
「ねぇ、お父さんもお母さんも何か言ってよ。鬼は~外。福は~内」
「「…」」
しかし両親は何も言ってこない。何もしてこない。
「…ごめんなさい!」
不安になった私は謝った。
「…それは何に対しての謝罪だ?」
「門限破ってごめんなさい。財布からお金盗ってごめんなさい。学校サボってごめんなさい。酷いこと言ってごめんなさい」
やっと父の声を聞けた安心感で今までずっと謝りたかったことを口にする。
両親が面を取ってくれた。
「心を鬼にした甲斐があったわ」
母の言葉にこれからは真面目に生きようと決めた。
公開:19/02/03 18:49

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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