全星発送

宇宙宅配サービスが始まった。地球はもちろん、火星から金星、木星まで、どこへでも荷物を発送することができるようになったのだ。
「お兄ちゃん。火星から荷物が届いてるよ」
「火星から？何か頼んだっけな」
「あれ、間違って荷物が届いちゃったみたいだね。宛先はまったく別の星だよ」
「なんだ本当だ」
火星と言えば、最近何かと物騒な話題で持ちきりだ。どこどこの星と戦争を始めるとか、植民地を始めるとかって。地球とは比較的友好な関係を築いてるらしいけど。
「気になるから開けてみようよお兄ちゃん」
「それはさすがにまずいよ。ちゃんと連絡しよう」
宇宙郵便局に連絡して、荷物は無事届け直された。
その一ヶ月後、とあるニュースが舞い込んできた。
「次のニュースです。先日ナモレルゥヌァ星が滅亡しました。調査の結果、新種のウィルスが発見されたことがわかり……」
僕はその星の名前に覚えがあったが、よく思い出せなかった。