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「村上春樹好きなの?」
と高橋が尋ねた。僕は「そうかもしれない」と答えた。
「どこがいい?」と聞かれて、「Tシャツの絵だ」と答えると、高橋はピクルスみたいな顔をした。僕は少し考えた。
「読んだことない文体だったな」
高橋は本棚の『風の歌を聴け』を人差し指でつついて、「で、好きなの?」と再び訊ねてきた。
「短編と、ピンボール迄は」
高橋は頷いて、隣にあった『限りなく透明に近いブルー』を指差した。
「で、こっちは?」
「ん」と、僕は息を継いで答えた。
「講談社の黄色い背表紙で、隣にあって似た名前だったから読んでみた。信じられるかい? 18才でハッシッシでドロドロなのに、読後感は完璧な『限りなく透明に近いブルー』だったんだ」
高橋はこの説明にはあまり興味をしめさず、『超電導ナイトクラブ』をめくっていた。
「これ、貸してくれないかな?」
と高橋は言った。
「いいとも」
と僕は言った。
と高橋が尋ねた。僕は「そうかもしれない」と答えた。
「どこがいい?」と聞かれて、「Tシャツの絵だ」と答えると、高橋はピクルスみたいな顔をした。僕は少し考えた。
「読んだことない文体だったな」
高橋は本棚の『風の歌を聴け』を人差し指でつついて、「で、好きなの?」と再び訊ねてきた。
「短編と、ピンボール迄は」
高橋は頷いて、隣にあった『限りなく透明に近いブルー』を指差した。
「で、こっちは?」
「ん」と、僕は息を継いで答えた。
「講談社の黄色い背表紙で、隣にあって似た名前だったから読んでみた。信じられるかい? 18才でハッシッシでドロドロなのに、読後感は完璧な『限りなく透明に近いブルー』だったんだ」
高橋はこの説明にはあまり興味をしめさず、『超電導ナイトクラブ』をめくっていた。
「これ、貸してくれないかな?」
と高橋は言った。
「いいとも」
と僕は言った。
青春
公開:19/02/03 11:01
更新:19/02/03 11:21
更新:19/02/03 11:21
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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