16
11
2月14日の夜。僕はランドセルからチョコの袋を取り出した。その時、コンコンと窓を叩く音がした。不思議に思って窓を開けると、びゅううと冷たい風と一緒に小さな侍が僕の部屋に入ってきた。侍はストンと着地して、紙袋を僕に差し出した。
「夜分に失礼。拙者、北風と申す。チョコを届けに参った」
サッパリわけがわからない。
「華殿が川に捨てようとしたのを拙者が風で掬ってやったのじゃ」
「隣の華ちゃん?」
「お前が嬉しそうに別のおなごからチョコを貰うのを見て渡せなくなったのだ。いや、拙者は盗み見たわけではござらんぞ。風の噂で聞いたのだ」
「何で捨てようとしたのかな?華ちゃんのチョコ欲しかったのに」
「か~、お前はおなごの気持ちがちっともわかっとらん」
それから一時間程、僕は北風にお説教された。
「明日、必ず華殿に気持ちを伝えよ」
北風はそう言って、びゅううと窓の外に消えた。
次の日。
僕は風邪をひいた。
「夜分に失礼。拙者、北風と申す。チョコを届けに参った」
サッパリわけがわからない。
「華殿が川に捨てようとしたのを拙者が風で掬ってやったのじゃ」
「隣の華ちゃん?」
「お前が嬉しそうに別のおなごからチョコを貰うのを見て渡せなくなったのだ。いや、拙者は盗み見たわけではござらんぞ。風の噂で聞いたのだ」
「何で捨てようとしたのかな?華ちゃんのチョコ欲しかったのに」
「か~、お前はおなごの気持ちがちっともわかっとらん」
それから一時間程、僕は北風にお説教された。
「明日、必ず華殿に気持ちを伝えよ」
北風はそう言って、びゅううと窓の外に消えた。
次の日。
僕は風邪をひいた。
ファンタジー
公開:19/02/03 08:31
更新:19/02/05 10:58
更新:19/02/05 10:58
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます